陳腐化したマーケティングとマインドコントロール
マーケティングの基本のひとつとして、感情や心理に訴えかける手法がある。
企業も個人 においてもマーケティングは当たり前になり、誰もがマインドコントロールをし、誰もがマインドコントロールをされている。
日常的に何とも歪んだ駆け引きが氾濫している。
ここまで当たり前になると、すべてが胡散臭く聞こえてくるし、陳腐化してくる。
情報がなかった時代であれば通用したかもしれないが今の時代で下手なマーケティングやマインドコントロールは逆効果だ。
例えば居酒屋やコンビニのトイレに入ると必ずといっていい程、貼り紙が目に付く。
そこには、こう書かれている。
いつもきれいにご使用頂きありがとうございます。
これは、人間の良心に訴えかけて「キレイに使えよ。汚すなよ。」と間接的に訴えかけたものだ。
あまりに画一的なマーケティングやマインドコントロールが拡がるとものすごく陳腐に見える。
トイレで貼り紙を見る度にこう思う。建前より先にさっさと掃除しろって。
見せかけの「ありがとうございます。」なんていうのは何の価値もなく、本音が見えてしまう画一的な訴えかけはあまりに陳腐極まりない。
トイレに貼り紙を貼るぐらいなら、トイレ掃除当番表を名前付きで張り出した方がいい。人の顔つきならなお良い。
人が掃除している姿を想像できれば良心が働く。
もし、マインドコントロールをしたいのであれば誰にも気付かれてはいけない。
コモディティ化したマーケティングはもはや逆効果だ。
ランキングという手法も一種のマインドコントロールだ。
ファミレスなんかで人気ランキング一位と言われるとついそれをチョイスしてしまう経験はあるだろう。
これをマーケティング視点で捉えるとどうなるか?
ランキングというのは、人気ランキングでなく、低原価ランキングである場合が多い。
売り手は当然利益率の良い商品を売りたいので抵原価のものを一位にする。
気付かれてないうちはマーケティングと言えるが本音がばれた瞬間に逆効果になる。
小手先で使うぐらいなら辞めておこう。
これらに共通して言えるのは、マーケティング以前に誰(Who)が何故(Why)を打ち出すべきだということ。
ランキングも誰(Who)のおすすめなのか?何故(Why)おすすめなのか?を明示しよう。
建前と本音が見え隠れすると顧客は離れるし、心を開こうとしない。
トイレ掃除も誰が何故しているのかをお客様に伝えたら良い。
「お客様に最高の居心地を提供するために、私たちはトイレ掃除を一生懸命にしています。 -スタッフ一同-」
私であれば、感心させられるとともにキレイ使おうと思う。
もう一つ面白い事例を紹介しよう。Appleと他のPC会社の商品紹介の違いだ。
他のPC会社は新商品をこうプレゼンをする。
我々のコンピューターは素晴らしく、洗練されたデザインで簡単に使え、ユーザーフレンドリー。ひとついかがですか?
それに対してAppleはこんなプレゼンをする。
我々のすることはすべて、世界を変えるという信念で行なっています。違う考え方に価値があると信じています。私達が世界を変える手段は美しくデザインされ、簡単に使え、ユーザーフレンドリーな製品です。こうして素晴らしいコンピューターが出来ました。ひとついかがですか?
引用元:サイモン・シネック(Whyから始めよ!)
マーケティングが一般化したからこそ、あえて高度にしたり複雑にするのではなく、
あえてシンプルに「Who & Why」を念頭に置いてからマーケティング活動をすべきだ。